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ANW01
新開発「CoClear振動板」を採用、TAKU INOUE監修によるサウンドチューニング

 
 

ANIMA 完全ワイヤレスイヤホン『ANW01』開発者インタビュー

 
Q1. 
ANIMA(アニマ)ブランドはAcoustuneのサブブランドという位置付けですが、ワイヤレス機器専門ブランドとして立ち上げた意図を教えてください。

 

 
A1.
初めに、ANIMAはAcoustuneのエッセンスを持つセカンドラインやディフュージョンブランドの位置づけであるため、ANIMAとAcoustuneのブランディングの方向性は別物となります。
ブランドを立ち上げた意図としては、Acoustuneがアプローチ出来ないユーザーに、Acoustuneへ入門するきっかけとなること、Acoustuneの思想を持つイヤホンをよりカジュアルに使ってもらうこと、の二点が主な目的です。
普通のTWSを作ったとしても現在の市場には数多くのTWSが溢れていて埋もれてしまう。また、Acoustuneは比較的高価なHi-Fiイヤホンブランドとしてブランディングを行っている。
この二点を考えた際に、サブブランドとして展開を行うことを前提として、サブカルチャー方面、そして比較的若年層にフォーカスした商品を展開しようという戦略を立てました。
まずサブカルチャー方面でのイメージを考え、ビジュアル面においてバーチャルタレントのキズナアイさんをデザインされた森倉円さんに世界観を表現して頂きました。イヤホンの光とハイテクさ、そして若者をイメージしたビジュアルに仕上げていただいています。
音の面では、アイドルマスターや電音部をはじめとして、先述のキズナアイさんや、にじさんじの月ノ美兎さんの楽曲にて作詞作曲をされているTAKU INOUEさんが適任であると考えキャスティングを行いました。
ANIMAはANW01のためにDSPによる音質調整プロセスを開発しました。これにより、Acoustuneの音響クオリティーを満たしつつ外部の人間でも調整できること、従来手法に比べて音に携わる方であれば非常に容易にチューニングできるようになりました。このおかげでTAKU INOUEさんに普段の制作環境でしっかりと時間をかけてチューニングを行ってもらうことを実現しました。
ANIMAで核となっているのは、Acoustuneで培った従来の機械・音響におけるチューニングノウハウと、今回開発したDSPによる音質調整プロセスの2点ということです。


 
Q2.
第一弾となるANW01は、ANIMAの今後のラインナップの位置付けとしてどのクラス帯ですか。
 
A2.
ANIMA製品の標準モデルとしての位置づけになります。音の方も市場では好評のようでうれしいです。今後は更なる音質重視モデルのリリースを考えています。身の回りでTWSの購入を考えているご友人やご家族がいましたら、ぜひANW01を勧めていただけると幸いです。


 
Q3.
 新開発したCoClear振動板とAcoustuneのミリンクス振動板に関係性があれば教えてください。
 

 
A3.
Myrinx(ミリンクス)が「鼓膜」ということに対して、CoClear(コクリア)はcochlea、つまり「蝸牛」に「Clear」をかけ合わせた造語になります。振動板の素材に関する部分に関しては企業秘密とさせて頂きますが、ミリンクスと非常に近い素材を使用しています。


 
Q4. 
外磁型のマグネットを採用した理由を教えてください。
 
A4.
従来、市販されているTWSも高性能なものに関しては外磁型が採用されています。外磁型の利点は内磁型に比べて体積を大きく、磁束密度を高めることが出来るからです。ANW01は小型ドライバながら能率を確保するために外磁型を採用しています。


 
Q5.
振動を最適化するスターグリルについて教えてください。
 
A5.
振動を最適化するスターグリルに関しては、振動板前面のグリル形状によって周波数特性を最適化する機能になります。星形にすることで特定の帯域の音を削ることを狙っています。星形であったためスターグリルと名付けました。


 
Q6.
MEMS型マイクはいくつ搭載されていますか。
 
A6.
左右にそれぞれ1つずつ搭載しています。


 
Q7.
タッチ操作を採用しなかった理由を教えてください。
 
A7.
物理ボタンは確実に操作をしたということが分かるからです。タッチセンサやタップセンサは触ることで操作できるので、耳の奥に押し込むことがないなどメリットもあります。ただし、今回は確実に反応するかという部分を重視したため物理ボタンにしています。タッチセンサやタップセンサでこの部分が解決できるかについて、現在も次機種の開発において検討しており、解決すれば使用も視野に入れます。


 
Q8.
ANW01の付属イヤーピースで、こだわりや工夫した点などあれば教えてください。

 

 
A8.
イヤーピースは傘が低いタイプですが、今までのイヤーピースと異なる部分が多く苦労しました。今回は試作を何度も行い最適な厚みを求めました。イヤーピースの形状が特異な形状となっていますが、ケースを小型にすることを追求した結果この形状になりました。音作りに関してこちらのイヤーピースで行っているので、もしよければイヤーピースを変える場合はこちらの音と聴き比べてみてください。


 
Q9.
バッテリーの容量はどのような理由で決めたのか教えてください。
 
A9.
大容量のバッテリーは再生時間については大きく増えるのですが、巨大化や重量の増加につながります。一方で長時間使えるからといって、大多数の人は連続使用で長時間は使用しません。
つまり、実際に使用する時間と装着した際に最適な重量のバランスが大事と考えました。使用時間と重さを考えた時に現在のバランスが一番良いと考えた仕様になっています。使っていただくと分かるのですが、よほど長時間で毎日使う方以外はバッテリー持ちで気になることは使用してみてほとんどないと思います。
また、TWSによりますが連続再生時間は長いですが、待機中にバッテリーを消費してしまうものもあります。こうなってしまうと連続再生時間が長い意味がありません。ANIMAに関しては省消費電力の工夫をファームウェアで動作の最適化やバッテリーマネジメントを行っており、バッテリー容量の無駄を少なくすることで連続再生時間分の時間をきちんと使用可能です。
同様にイヤホンケースについても市場では24時間というのが一つのベンチマークになっていますが、リサーチの結果、週に24時間もイヤホンを使用する方は少ないということがわかりました。実際の使用状況と持ち運び性のバランスを考えて、現在のコンパクトなケースに仕立てています。


 
Q10.
「音響設計の過程の中で従来品のTWS用ドライバでは目標とする基準への到達が難しいと判断。」とありますが、今回はどのように目標へ到達させたのでしょうか。
 
A10.
いわゆるTWSに用いられる小型ドライバはアコースティックな自由度が有線イヤホンに比べて格段に弄ることのできる領域が狭いため、DSPのチューニングが肝になってくるのですが、ドライバが基準を満たさないと、このDSPに耐えられません。BAを使用すればクリアしやすかったのですが、今回求めた音質的な面やコスト面が希望に見合いませんでした。今回のドライバはCoClear振動板や外磁型の磁気回路など工夫をすることでその部分をクリアしたものになります。


 
Q11.
SoCを非公開にした理由を教えてください。また、採用した通信方式も教えてください。
 
A11.
単純にSoCの種類で良し悪しを判断してほしくないという意図を込めてあえて非公開とさせて頂いています。
結論から言うと、SoCの型番だけでは接続安定性は確認できません。ANIMA ANW01はBluetoothのClass1製品のため、無線の出力で言えば一番大きなクラスに属しています。
最近ではSoCが最新であるほどスペックが良いという風潮がありますが、実際には新しい=良いというわけではなく、使用するSoCのメリットを汲み取って使用することが大切です。分かりやすく言えば、ハードウェアとファームウェアのトータルバランスが大事ということです。エンジニアサイドから見ると、長く開発が続けられているものは技術が枯れている=ライブラリなどが充実していて安定性が良く、かつ高度なものを作れるメリットがあります。逆に新しいハードウェアに関しては魅力的な機能がある、といった形でそれぞれにメリットがあります。
また、SoC上でパッケージが違うだけで性能に差がないものに対して「数字が大きい=性能が良い」という誤った認識が独り歩きしていたこともありました。例えば、QCC3046とQCC3040は何が違うか?と質問をしてもTWS開発に携わる人間でない限り正確に回答できる方は非常に少ないと思います。つまりDACチップやスマホのプロセッサなどと異なり、SoCの違いに関して世代という情報とわずかな追加機能以外の情報を正しく理解している方は非常に少ないという見解です。
長くなりましたが、SoCの選択はあくまでも目的とする要求に対し満たしているかというチューニング次第ということになります。
ANIMA ANW01では、SoCの型式は非公開ではありますが、チップ選定に際して重視した項目は以下になります。
 
拡張性と安定性が高いこと
信号処理的な面や通信方式の面
性能と製品ライフサイクルのコストパフォーマンス
 
まず①についてですが、ボイスストア機能やファームウェアの拡張を考慮して従来のTWSのメモリより大幅に大容量のものを積んでいます。大容量にすることで高音質なガイドボイスを入れられるようにすること、ファームウェアをギリギリで動作させないようにするため(=安定動作させることで高音質化する、追加の信号処理を将来的に拡張できるようにするため)です。
次に②についてですが、TWSは見かけ上は左右が完全に独立していますが、通信方式としては4種類ほどが市場にありますが、主流な方式としてミラーリング方式とリレー方式があります。
 
・リレー方式:スマホ→左(もしくは右)→右(もしくは左)
・ミラーリング方式:スマホ→左右のいずれかをメインとしてもう片方にミラーリングを行う
 
ミラーリング方式は左右の遅延差がリレー方式に比べて少ない事、リレー方式は左右のチャンネルを共有するため信号処理的に有利なことなど、それぞれメリット・デメリットがあります。
現在のTWSは、リレー方式ではくミラーリング方式が主流になってきています。これは黎明期のファームウェアが安定的で無かったことから、リレー方式では左右のレイテンシーが大きく出てしまっていたことが挙げられます。また、現在マーケットリーダーであるTWS製品がミラーリング方式であるため、市場全体で追従してミラーリング方式が主流という流れになったという経緯があります。しかしながら、リレー方式に関してもファームウェアの改善に伴い左右のレイテンシーに関してはノウハウが蓄積されることで非常に気にならないレベルになりました。ミラーリング方式はリレー方式に比べると左右のいずれかから反対に信号を渡さないことにより、人間の頭による干渉の影響を受けないため、レイテンシーが非常に少ないというメリットがあるのですが、左右の信号が独立しているため、イヤホン内部で左右の信号を交互に使用する信号処理(例えばクロスフィード)ができないというデメリットもあります。今回、今後のアップデートで使用するかは別ですが、拡張性を考えた信号処理の観点からANW01ではリレー方式を採用しています。
最後に③についてですが、ANIMA ANW01ではSoC選定の際に極めて安定したファームウェアが動作するものでありつつ、昨今の半導体の生産・供給の情勢から調達性の高さを優先しました。
この件のまとめとなりますが、最初に述べたようにTWSはSoCとそのファームウェアとハードウェアを含めたトータルバランスで成立しており、信号処理の部分を含めて最新=性能ですべてを上回っているということではありません。これらはユーザーからすると見えない部分であり、また理解の及ばない範囲であるかもしれません。
よって単純に製品の本質的な部分で勝負したいという思いも込めてSoCの型番はあえて非公開という形にさせていただきました。詳しい人であればANW01のSoCに関してはすぐに調べることが出来ますが、そういった方にもファームウェアとハードウェアのバランスが本質であるという部分が伝われば幸いです。


 
Q12.
ANIMA Studioアプリで今後追加される機能はありますか?また、アプリの機能性やデザインなど、こだわった部分などあれば教えてください。

 

 
A12.
今後追加を考えている機能はひとまず、音質のバリエーションの追加を主として考えております。イヤホンですからまずは音の部分で、ASMR向けの音やドルビーアトモスのようなサラウンド再生にあった音などのバリエーションの追加を考えております。ASMRも商業用と同人用で音の作り方が大きく違うのですが、プリセット方式であれば二種類用意することで対応したいと考えています。


 
Q13.
パッケージデザインに描かれた2人のキャラクターの名前などあれば教えてください。

 
A13.
実は名前が無く…。この2人のコンセプトはユーザーさんを投影したキャラクターになります。名前が無いので皆さんで決めていただくのも面白いかもしれませんね。


 
Q14.
開発時に一番苦労した点、こだわった点などがあれば教えてください。
 
A14.
開発に一番苦労した部分は端末によって大きく音が変わることや、ファームウェアおよびDSPのチューニングのルール作りになります。単純にTWSは有線イヤホンに比べて、開発を行う際にファームウェアやアプリや端末ごとの固有の相性などがあるため、その部分も苦労しました。
特に大変だった部分はDSPで、ゲインの調整で同じことをしていても信号処理をするタイミングによって相当音が変わるため、これらを検証しながら音質的に最善になる方法を模索するのがとても苦労しました。
また、イノタクさんと音を作る際にはイノタクさんの音を理解するために音量や楽曲の作成環境の音のコミュニケーションによる擦り合わせを行い、最善の環境でチューニングしていただきました。そのためのチューニングプロセスを作成したことが今回一番こだわった部分になります。ちなみにですが、比較的新しいiPhoneを使用して音を決めています。再生する際のコーデックはAACがおすすめです。


 
Q15.
今後のラインナップとしては、どのような製品を追加したいと考えていますか。
 
A15.
次のモデルは高音質なモデルを考えています。Acoustuneではシングルダイナミックの縛りがありますが、ANIMAでは2BAやD+2BA、新しい方式のトランスデューサ、高性能なDSPに高級な信号処理を組み合わせ、ハイレゾなコーデックに対応…などを考えて次の製品づくりに向けて進めています。いずれにせよアプリ+高音質+αという路線で製品づくりを行っていきたいです。


 
Q16.
最後にユーザーの方々へ一言お願いします。
 
A16.
ANIMA製品をご購入ありがとうございます。ANW01を通じて何か感動があれば幸いです。また、周りでTWSを検討されている方がいればANIMA製品を是非、勧めていただければと思います。
今回は人に勧める話のきっかけづくりとしてAcoustuneのエッセンスだけでなく、森倉円さんの美麗なビジュアル、TAKU INOUEさんの素晴らしいサウンドチューニングなど、ギミック的な要素も盛り込みました。
ANW01をきっかけとして高音質な音楽体験の楽しさを実感してもらい、ポータブルオーディオのファンになってもらうことが出来れば嬉しいですし、ポータブルオーディオファンにTWSは便利なだけではなく高音質なものがある、と知ってもらえれば幸いと思っています。


 
ANIMA ANW01開発者より
 

 

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