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スペシャルインタビュー DITA meets 塩田哲嗣


 

至高のイヤホンに究極の曲を──厳選された素材とあくなき音質追求によって生まれた「DITA」ブランドのイヤホンをイメージして、日米で活躍するベーシスト塩田哲嗣がオリジナル録音作品を制作。彼の拠点のひとつであるNYで厳選されたミュージシャンとレコーディングした「Nori Shiota presents DITA session in New York」の制作過程や背景、そしてDITAの魅力についてDJ 大塚広子が話を聞いた。
 
──今回まず、塩田さんがNYで制作されたという音源について伺っていいですか?
 
はい。コンセプトは“本場のJazz Vocal”でしたので、ミュージシャンが同時に演奏したもので構成されています。ハイレゾ対応の、96khz 32bit浮動小数点数(マスタリング後24bit)。現在のPCM録音(=Protools)ではハイスペックでかつスタンダードになりつつある、いわゆる“ハイレゾ録音”です。
 
──メンバーも魅力ですよね。
 
リズリー・ハリソン(Lezlie Harrison)というヴォーカリストをフィーチャーしていて、彼女の集めたメンバーでのレコーディングになっています。リズリーは有名なライヴハウス、ジャズ・ギャラリーの立ち上げメンバーだったり、ジャズ専門ラジオWBGOのパーソナリティーも務めていたりと、地元ニューヨークでは幅広い活動で知られる存在で、ロイ・ハーグローヴやDr.ロニー・スミスなどと共演していたりと、彼女のリアルでソウルフルなヴォイスはとても定評があるんですよ。今回は、彼女といつも共演しているベテラン・ギタリスト、ソウル・ルービン(Saul Rubin)にもアレンジ&演奏でも参加してもらいました。リズリーがピアニストを連れてこなかったので、ジョジョ・メイヤーやリー・リトナーのバンドの一員としても頭角を現して来た若手ピアニスト、ギオギ・ミカゼ(Giorgi Mikadze)を僕がブッキングたんです。彼は僕がバークリー音楽大学にいた時のトップ・プレイヤーでマンハッタン音楽大学を卒業したばかりの逸材ですね。祖国のジョージア共和国(2015年まではグルジア)で一番初めにジャズのマスター(修士号)を取得したり、既にYAMAHAのオフィシャルアーティストに抜擢されたりしています。彼らはミュージシャンとしてはよく共演していたメンバーなんですが、プロデュース&エンジニアとして録音するのは、ギオギ君以外はほぼ初めてですね。
 
──楽曲はどのようにして選んでいったのでしょうか?
 
彼女のレパートリーのなかから選曲し、ジャズ・スタンダードだけでなく、ザ・スタイリスティックス「People Make The World Go Round」や、アリーヤのカヴァーもあります。あとギオギ君の祖国、ジョージア共和国の独立記念日だったので、その国歌をピアノソロもやりました。これがなかなか良かった。
 

──レコーディングはどんな環境だったんですか?
 
ジョン・レノンが使っていたスタジオとしても有名なシア・サウンド(Sear Sound)を使用しました。なぜここにしたかというと、好きな機材、例えば真空管マイク、リボンマイクのようなヴィンテージの機材がかなり良い状態で使えるんですね。僕は2001年から2010年までニューヨークに住んでいて、そのあとボストンで4年間、バークレー音楽大学でミュージックプロダクション&デザインという科で録音技術などを学びましたが、そこで学んで一番大きかった事は、音楽を立体的に、空間としてどう捉えるかだったと思います。右か左かだけではなくて、右奥のどのあたり、左手前の……というような録音空間を3次元で描いていくという。そういう意味でもこのスタジオは部屋の作り、機材のチョイス、コンディションも良く、僕が頻繁に言う“ピント合わせ”をするにも納得がいく環境なんです。今だに多くのミュージシャンが利用していて、ニューヨークのスタジオでは老舗で有名な場所ですね。
 
──このスタジオで、DITAが活躍してくるわけですね。

そうそう、今回はDITAヘッドフォン用の録音ということでしたので、始終使っていましたよ。あとミキシングの作業というのは盆栽みたいなもので、あちこちから生えた枝葉をどう揃えていくか? っていう感じの作業なんですが、特に今回、僕のやっているような自然で立体的な空間を意識したレコーディングでは、音像の真ん中に何を置いて他をどう配置するかとか、何をどれくらいの大きさで聴かせるかなどをコントロールするために、まず音像そのものを的確に捉えることが大前提になってきます。それで、このDITAですよ。
 
──制作のときは、大きなスピーカー・システムでチェックするイメージだったんですが、違うんですね。
 
いえいえ、もちろんスピーカーは絶対必要なんですが、昔はミキシングにイヤホン(ヘッドフォン)を使うなんて邪道、って言われたんですよ。でもミキシングやマスタリングというのは、聴き手のシチュエーションにあわせてパッケージ化していく作業なんです。要するに音の“出口”のことを考えてバランスを取る訳です。例えば1千万円のスピーカーにあわせて作った音が、1千万円のスピーカー環境(=作られたのと同じ出口)で聴いてもらえるとは限らないですよね。特に日本では、昔のアメリカの様に大きな家で音楽を聴く文化とはちょっと違うし、現実的には狭い環境やヘッドフォンで音楽を聴く時代ですから、モバイルで良い音が聴けるイヤホン(ヘッドフォン)に確実にシフトしている。そうやってその時代の音楽の“出口”が変わってきたらその“出口”にあわせてアーティストのパフォーマンスを丁寧にパッケージ化して提供する。なおかつ従来のスピーカー環境でも満足させる。これが録音制作ではとても大事なんです。
 
──だから音楽を聴くときは、それを作った時と同じか、近い環境のほうがいいんですね?
 
その通りです。モニター環境が同じであればあるほど制作の意図は届くものだと思います。今回はDITAヘッドフォンを出口に想定しているから、DITAで再生すればベストな音で聴けるはずです。でも今回、このプロジェクトのために使いはじめたDITAなんですけど、僕自身この方法を気にいってしまい、今では毎回録音制作で使っています。高級スピーカー・システムは値段に際限がないし、どんどん上を目指しちゃうんで悩んでいたんですが、これでいいじゃん?むしろこれがいいじゃん! て思い始めて使ってたいら、クライアントからの駄目出しの回数も減ったし(笑)。これが半年間使ってきた実感です。


──DITAが他のイヤホンと違う部分ってどんなところでしょうか?
 
耳の構造上“理にかなっている”、という部分でしょうかね。結局、音を聴くのは耳を使ってですよね。2つの耳の情報が脳内であわさってのステレオ感だし、もちろんスピーカー独特のステレオ効果はありますが、DITAだけでも全然悪く無い。聴き比べるとわかりますよ。
 
──(実際に試聴してみて)うわ、全然違いますね。4K、8Kの世界のようです。
 
良いか悪いかというのは好みもあるから話しとして横に置いておいても、鮮明さが違うでしょ。これが映像だったら、女優さんの肌の荒がわかってしまうとか、セットの狭さが伝わっちゃうとかで困るかも? ということになるけど、音を制作する側からするとこれくらいすっきり見えていてほしいわけです。しかもこの“出口”を基準に録音して、さらにその音を整えたわけですから。
 
──今回はDITA専用の整え方になるわけですよね。
 
つまりミキシングの作業がその出口の特徴に合わせての作業になるということなんですが、いろいろあるヘッドフォンの違いって、つまりは出口のドアやドアノブの形の違いみたいなものなんですよね。例えば防音性が高いドアって、そのためにドアもドアノブもゴッツイ形をしているでしょ。そのドアのデザインにはそれぞれ、その形や素材になった理由があるわけなんです。そのドアの癖というか、大きさとか特徴をちゃんと考慮して音をつくると、元々のパフォーマンスが一番良い形でリスナーに届くんですよね。しかもDITAは高い純度=高解像度の音を届けられる構造をしている。だから楽器が上手いロックとか、ミュージシャンのパフォーマンス重視のジャズ、クラシックとか、とても良いかもしれませんね。僕なりにはDITAってフラットってよりちょっとローミッドが出ているイメージだけど、こればっかりは持っている耳がみんな違うから、ひとりひとり聴こえ方は違うはずなんですよね。そう思うと、理にかなっている、って言いましたけど、自分の耳の形に合うかどうかは、大きなポイントでしょうね。そういった意味ではDITAは僕にとっては完璧です。ケーブルも丈夫だし。
 
──ケーブルもこだわっています。
 
昔は右へならえで、ヘッドフォンケーブルにあまり差異がなかったと思いますが、今はスペックをこだわるメーカーの個々の努力とチョイス、そのこだわりで培った実力がやっと表に出てきた。音楽もそうですよ。今回のリズリーも、僕らNYのミュージシャンの間では、彼女の歌は素晴らしい! 最高! ってみんながすでに知っている。でも彼女自身はあまりインターナショナルな舞台と言うか、チャンスに恵まれてなかったから、良さを知っている僕としては、長年どこかのタイミングで紹介したかった。で、彼女の一番の特徴は声が抜群に良いところだから、DITAと相性を考えたら、これ程完璧なコンビネーションはないと思ったんです。

──塩田さんが音楽制作で大事にしているのはどんなことですか?
 
録音に関しては、プロセスの的確さ、確実さでしょうか。ただ録ったままのものが良いか? というとそうではなくて、例えば作品がケーキだとすると、良い材料を揃えました、調理しました、さあどうぞ、ではなくて、見た目や箱の形、実際に食べるときの温度、時期まで考慮して、しかも形を崩さずに運んで相手に届ける事が出来てようやっと美味しい! って相手に感じさせるものですよね? それと同じで、一番大事なのはその相手に音を届けるまでの作業工程で、良い素材さえ揃えられたら、それを入口から出口まで適切な方法で、責任もって丁寧に調理して仕上げてパッケージして、確実にデリバリーすることじゃないかと思っています。今回は、入り口がNYのスタジオで、出口がDITAと決まっていた。だからあとは僕が責任を持って録音作業して丁寧に運ぶだけだったんです。一番大事なのはもちろんアーティスト自身のクオリティであって、僕はそれを丁寧に運ぶ。今回の僕のプロデュースの大事なひとつの役割は、ベストな素材を選んで、それを産地直送で運び込んで料理して、丁寧にパッケージングしてDITAを使って聴いてくれるリスナーにベストクオリティで届けるってことかもしれませんね。
 
──良いものを使って手抜きをせず、丁寧に、エラーをしない、その謙虚さが音を聴いていても伝ってくる気がします。
 
まったく別の話しですが、例えばアナログ・レコードの音は、実はハイレゾと真逆のローレゾな(12bit辺りの音データ量と言われている)存在なんですが、その当時の最高の職人によるこだわりの機材やカッティング手法など、特に昔は本当に今の金銭感覚でいうと、手が出ないくらい高価なマシーンを使っていましたからね。でも一番大事だったのは、その職人の心。そういう意味ではハイレゾでもローレゾでも、良い音で記録されているということは、大事にしていることはそこに関わる“人“という意味で同じなんです。その当時の生え抜きの技術者が、ずば抜けた耳と技術を使って、手間隙かけてこだわった内容だということ。つまり良い音にとって大事なことは技術もですが、そのプロセスに関わる人の“人間性”だと思います。最良の方法でどうやってオーディエンスに最良の音を届けるかを考えていくと、安いイヤホンだとちょっと物足りないかもしれない。良い演奏だからもう少し贅沢に聴いてほしい。かといって1千万円のスピーカーを買ってとは言えないけど、このDITAなら10万円前後で、最良の音、ニューヨークで録音してきた音、素晴らしい空間を適切な形で伝えられるかもしれない。DITAを作った職人がこだわった部分も含めて、ミュージシャンのパフォーマンスが100%リスナーに確実に届くと思うんです。逆に、かつて丁寧にその時代の職人の手と耳で作られたアナログ・レコードをDITAで聴いてみてもきっと良い音で聴けるはず。そしてその究極の形がこの、DITAヘッドフォンのために録音&ミックス&マスタリングしたエクシクルーシヴな(DITA専用の)作品でもあるので、ぜひとも聴いてほしいですね。

 
インタヴュー・文/大塚広子
写真/島田香

塩田哲嗣プロフィール

1969年8月8日生まれ。ベーシストとして数多くのセッションやレコーディングに参加する。1996年にはニューオリンズで演奏活動。1997年に一旦帰国後、大坂昌彦(Dr)などのバンドで活躍。2001年ニューヨークに再渡米。13年間のアメリカを拠点とした活動、4年間に渡るBerklee音楽大学での録音&プロデュース技術の習得を経て、2014年に帰国。渡米中も東京スカパラダイスオーケストラのNARGOとSFKUaNK!!を結成し2005年メジャーデビューし、NY在住中のシンガー、Bei Xu、青木カレンなどのプロデュースも手がける。

「Nori Shiota presents DITA session in New York」

 
Georgian National Anthem (piano solo) 96kHz / 24bit FLAC
At Your Best(You Are Love) 96kHz / 24bit FLAC
I Wish I Knew 96kHz / 24bit FLAC
People Make The World Go Around 96kHz / 24bit FLAC
Nearness Of You 96kHz / 24bit FLAC
Throw it Away 96kHz / 24bit FLAC
What a little Moonlight Can Do 96kHz / 24bit FLAC
 
Producer&Recording&Mixing Engineer :Nori Shiota
Vocalist:LEZLIE HARRISON
Guitar:Saul Zebulon Rubin
Bass:Joe Bussey
Drums: Brandon Lewis
Piano: Giorgi Mikadze
Mastering “Jett Galindo at the Bakery (Culver City, CA)”
Studio:Sear Sound Studio NY
 

Producer&Recording&Mix Engineer: Nori Shiota 塩田 哲嗣(しおた のりひで) 

BassPlayer&Producer1969年8月8日生まれ。
ベーシストとして25年間、数多くのSession&録音に参加。
1996年ニューオリンズ、2001年よりニューヨーク、2010年よりボストンでアメリカを拠点として活動する。2003年東京スカパラダイスオーケストラのNARGOと”SFKUaNK!!“を結成しメジャーデビュー。全国BLUENOTEやクアトロツアー等、幅広いフィールドで展開。2005年よりプロデューサーとしても活動を始め、NY在住中Vocalの“Bei Xu”をメジャーデビューさせ、iTunes Musicなどの多くのヒットチャートで1位を獲得。以降、数多くのプロデュース作品をリリースし続けている。
2010年ボストンのバークレー音楽大学に入学、MP&E(ミュージックプロダクション&デザイン)とPerformanceのDual Majorで2014年5月に卒業後に帰国。現在は世界をまたにかけ、ミュージシャン&プロデューサー&録音エンジニアとして活躍中。

Offical Site

 Vocalist &  WBGO ON-AIR HOST:LEZLIE HARRISON(レズリーハリソン)

 幼少の頃よりNYのハーレムでソウルミュージックに囲まれ、ノースカロライナの祖父の教会ではゴスペルを歌いながら育つ。
NYを拠点にシンガーとして活動を始め、2006年には雑誌「All About Jazz」が、彼女とロイハーグローブとのパフォーマンスを「best of the Year」に選出。2007年にはチャーリー・パーカー・ジャズフェスティバルのオープニングアクトをつとめる国際的にも活躍している実力派ボーカリスト。
その他にも、有名ジャズクラブ“Jazz Gallery”のCo-founder、公共ラジオ「WBGO Jazz 88.3FM」のメインパーソナリティとしても活躍中。

Offical Site

 

Guitar:Saul Zebulon Rubin(サウル ルービン)

 「サウル ルービンは有能でかつ、共演者のフィーリングを的確に把握し、温和なセンスで対応出来るミュージシャン。
「彼は、私がバンドメンバーに求める全てを持っています。」−ソニー・ロリンズ
サウル ルービンは、伝説的なサックスホーン奏者であるジャッキー マクレーンやポールジェフリーに作曲とジャズを学び、Hartt音楽学校を卒業後、ニューヨークを拠点に活動。ソウルフルで巧みな演奏の噂はすぐに広がり、歴史的なジャズサックス奏者ソニー・ロリンズや、トランペット奏者ロイ・ハーグローブなど、数多くの著名なミュージシャンとのツアーに参加。その他にもNYC Jazz Guitar Festivalをプロデュースするなど、今やNYの重鎮ミュージシャンとして様々な活動している。

 Offical Site

Piano: Girogi MIkadze(ギオギミカゼ) 

ジョージア国生まれ。12歳の時にシンフォニーオーケストラと共演。高校入学と同時にJazzに目覚め、V. Saradjishvili Tbilisi State Conservatoire、Berklee College of Music、Manhattan School of Musicをフルスカラシップで卒業、ジョージア国出身者では初のJazz修士号を獲得する。卒業と同時にYAMAHAアーティストに抜擢され、現在ではNYを中心に、リーリトナー、ジョジョメイヤー、デヴィッドフュージンスキー、マットギャリソン、ジャックディジョネットなどと共演している。
 

Offical Site
 
 

その他、アーティスト

 Bass : Joe Bussey
Drums : Brandon Lewis
Mastering “Jett Galindo at the Bakery (Culver City, CA)”

 

 機材リスト


・A Protools12 HDX 96KHz/32bit float
・Console NEVE8038 Custom Console
・Comp&EQ LA2A(for Vocal)
・FairChild 670(for Piano)
・Pultec EQP-1(for Bass&Kick)

・Neuman U47 lomo19a19
・Piano Neumann KM54
・AKG C12
・BlueBottole ELAM251Capsule
・AEA Ribbon Mic N8
 
・Neuman U87
・Shure SM57

・Neumann U67
・Shure SM57
 

・Coles 4038Ribbon Mic
・RCA 44BXRibbon MIC
・Neumann KM84
・AKG D12
・AKG 190E
・AKG C451

・Steinway "C" 7'6"Grand Piano (1894)
 

レコーディング風景

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